『リボンの騎士 ザ・ミュージカル』キャスト別感想(その1)
6日夜の初観劇の後と、12日夜の2度目の観劇の後には、長々と感想を書いたのですが、
それから後の観劇(19日昼・夜、22日夜、24日夜)後は、
単純に時間が無かったり、青森“旅行”で蓄積された疲労からか“寝落ち”をしてしまったりして、
小春ちゃん演じる大臣の息子の宣伝に釣られて(笑)、
劇場内で1000円を出してカレーを食べた事を24日夜の日記で書いた以外は、ミュージカルに触れず仕舞いでした。
ですので今回は、『リボンの騎士 ザ・ミュージカル』の感想を、キャスト別に記してみたいと思います。
(なお、トリプルキャストになっている役は、役柄毎に書かせていただきます。)
なお、一部のキャストに関しては、以前に書いた日記で既に書いていますので、
もしかすると、同じ事を重複して書いてしまうかもしれませんが、ご容赦下さい。
また私は、音楽やミュージカルについて、専門的に語れるような知識がありませんので、
“○○論”的な感想・評論は、他の皆様におまかせすることにして、
あくまでも、私が観劇して感じた“印象”に基づいて書かせていただきます。
◆サファイア(愛ちゃん)
主役を張るだけでも大変なのに、男役の時と女役の時とで声や表情を変えなければならず、
場面によっては、もう1つの顔を垣間見せたり、少しの間を置いて男役に変わったり、
さらには、格好や振る舞いは女なのに、声は男という場面もあったりして、
最も大変な“難役”だったと思いますが、主役として素晴らしい演技を見せてくれたと思います。
彼女の熱演が無ければ、私は観劇する度に涙を流すことは、恐らく無かったでしょう。
“サファイア王子”として台詞を話すときに、あまりに力が入りすぎて、
「ボンクラ」という言葉が「盆暮れ(ぼんくれ)」に聞こえるなど、
語尾が不明瞭になってしまう部分が多少あったような気がしますが、
全体的には、身のこなしや台詞回しはなかなかサマになっていました。
個人的に一番印象的なのは、物語冒頭の王妃との“花言葉の歌”のシーン。
花束を手に持って、目をキラキラと輝かせて王妃の歌を聴いている表情は、可愛いお姫様そのもの。
客席でその表情を見ている私は、思わずその可愛さにドキドキしてしまいました(爆)
サファイアの年齢設定が分からないので、可愛いという表現が適切なのか分かりませんが、
いずれにしても、この時の舞台上に居たのは、間違いなく“サファイア姫”でしたね。
◆フランツ王子(梨華ちゃん・なっち・亜弥ちゃん)
最初に梨華ちゃん、2度目になっち、そして3度目に亜弥ちゃんのフランツ王子を観ました。
何ともどっちつかずな感想で申し訳ないのですが、三者三様の良さがあるような気がします。
梨華ちゃんは、正直に言うと歌が相変わらず不安定で、観ているこちらがハラハラしてしまうのですが、
フランツへのシンクロ率が一番高かったのは、3人の中では梨華ちゃんだったような気がします。
身のこなしや台詞の話し方など、終始、男役であるフランツになりきっていましたからね。
歌の不安定感はともかくとしても、声には張りがあって、大きな声が劇場に響いていましたし。
そして、フランツ王子が、少女漫画である『リボンの騎士』の登場人物であることを考えると、
少女漫画に出てくる王子様のイメージに3人の中で一番近いのは、梨華ちゃんのような気がしますので。
なっちは、誤解を恐れずに言うとすれば、3人の中では最も無難な印象。
歌は梨華ちゃんよりも安心して聴いていられますし、演技も経験豊富なだけあって安定していました。
でも、フランツの初登場直後の場面(淑女達に追われるシーン)での、「素っ裸にされちゃう!」という台詞で、
一瞬フランツではなく“安倍なつみ”が垣間見えてしまったんですよねぇ。
(「素っ裸ぁ!」の台詞を、多少おどけた感じで言っていました。)
もしかすると、梨華ちゃんのフランツと差別化を図り、
“特別出演”独自の演出として、わざとそのような演出が施されたのかもしれませんが、
個人的には終始フランツに徹して欲しかったなぁと思うので、そこだけが残念でした。
亜弥ちゃんは、歌唱力は3人の中ではダントツ。演技もそれなりに経験しているので安定していました。
そして、フランツの歌や台詞に“迫力”を感じたのは、正直に言って亜弥ちゃんの時だけでした。
ただ・・・フランツへのシンクロ率が一番低く感じてしまったのも、残念ながら亜弥ちゃんだったんですよねぇ。
なっちについての感想でも書いた「素っ裸にされちゃう!」という台詞を話す場面では、
“垣間見える”というレベルを通り越して、そこにいたのはまさしく“松浦亜弥”。
(「素っ裸ぁ!」の台詞は、かなり可愛らしい感じで言っていました。)
そして、私が観に行った日(19日)が、運悪くそうだったのかもしれませんが、
残念ながら何か今ひとつ、全編を通して“男役”になりきれていない印象を受けてしまいました。
◆大臣(よっすぃー)
原作の大臣(ジェラルミン大公という名前らしいですが)がどういうキャラクターなのか分かりませんが、
今回の作品における大臣は、単に自分の息子を王にして権力を手に入れようとするという、
よく時代劇に出てくる“悪代官”的な、言わばありがちな悪役ではなく、
息子をどうしても王にしたい、心に秘めた理由を持っていて、その為に悪事を企てる一味違う悪役。
(人間のドラマを目指した、演出・木村信司さんの見事な味付けと言えるのかもしれません。)
よっすぃーは、そんな悪役に見事なまでになりきっていましたね。
特に、物語終盤の“葬送”のシーンで、息子に肩に手を掛けるも、
その手を息子に払いのけられてしまった後の演技と表情には、悪役であるにも関わらずジーンとしてしまいました。
一番印象的だったのは、やはり、物語中盤の魔女ヘケートとの歌の掛け合い。(ヘケート初登場の場面ですね。)
あの2人のハーモニーと歌の迫力には、背筋がゾクゾクっとするような、「鳥肌が立つ」という感覚を覚えました。
それ以外の場面でも、彼女の力強い歌声には、迫力があったような気がします。
◆魔女ヘケート(ミキティ)
登場する場面は少なめながらも、重要かつ強烈な存在感を放つキャラクター。
それだけに、高い歌唱力と演技力が求められるはずで、
現在のモーニング娘。の中では、恐らくミキティ以外に、
魔女ヘケートを演じられるメンバーはいないのかもしれません。
先程も書きましたが、大臣との歌の掛け合いは“鳥肌もの”。
それ以外の場面でも、ヘケートの歌には、とにかく迫力が終始感じられました。
そして、彼女の仕草や表情は、美しさの陰に強い意志と繊細な心を持った、まさしく魔女そのもの。
第1幕終盤(サファイアが女であることが分かってしまうシーン)で、王妃を操るような動きや、
王妃がサファイアの秘密を話してしまった後の一連の動きは、個人的には秀逸だと思います。
(↑高笑い〜王座に自ら足を組んで座る〜王座に座った大臣の息子の横に妖しげに寄り添う)
ところで、“葬送”の場面では、悪役なのになぜか、ヘケートの心中を察して切なくなってしまうのです。
「思いを寄せた男性に愛されるために女の魂を欲する魔女」という、木村さんの味付けのせいなのでしょうが。
今回のミキティによる魔女ヘケートには、「お見事!!」としか言いようがありません。
◆牢番ピエール(三好さん・梨華ちゃん・ののちゃん)
最初に三好さん、その後3公演続けて梨華ちゃん、そして5公演目にののちゃんの牢番ピエールを観ました。
この牢番ピエールというのは、ある程度、影がある役柄というのが、個人的な印象なのですが、
そういう意味で、一番役柄へのシンクロ率が高かったのはののちゃんだったように思います。
怪我の影響*1で出番が限られていたため、もしかすると“一役入魂”で舞台に臨んでいたのかもしれませんが、*2
彼女の演技は、3人の中で最も真に迫るもの(一番の迫力)がありました。
キャラクター的にも、そして声質的にも、“影”とは遠い印象が私にはあるのですが、
見事な演技力で、彼女なりのピエール像を作り上げていたと思います。
ただ、松葉杖を突いての演技ということで、動きに制約があったり、
毒入りの料理をトロワが運んでくるなど、設定に無理が出てくるのは致し方が無いところでしょうか。
三好さんのピエールは、申し訳ない言い方になりますが、無難な印象。
ただ、声質的にも、雰囲気的にも、“影”がある雰囲気は出ていましたね。
逆に、梨華ちゃんのピエールは、フランツ王子役のインパクトが強すぎたせいか、
最初に観たときは、はっきり言ってイマイチでしたね。
何となく肩肘を張って演技をしているような感じがして、違和感が大でした。
ただ、二度目に観たときは、変に力も入っておらず自然な感じになっていて、良い感じでしたが。
でも・・・梨華ちゃんにはやはりフランツ王子の方が、はまっているような気がします。
・・・これで、重要なキャストに関しては書いたことになるのでしょうか?
ここまでかなり気合いを入れて、約4時間を掛けて書いたのですが、さすがに疲れてしまいました。
ここで一度休ませていただいて、また後ほど改めて書かせていただきます。
本当は、千秋楽までにケリを付けたかったのですが、何となく無理な気がします・・・。
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